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Q and A

[受診すべきかどうか]

当院へのご質問をまとめてみました。
(お名前はニックネームとなっています)
回答は個別症例への対応を念頭に置いているため、必ずしも一般化できない点にはご注意ください。

[13] 2017-10-06
SNOWさんからの相談
 [ 気分変調性障害について ]

Q

 20代後半に神経症と、とある大病院で診断されました。その後心療内科にて「軽いうつ」と診断、一時期回復傾向になりましたが「脅迫神経症」を発症しました。

 心療内科には約18〜9年通院しましたが精神科にセカンドオピニオンを通して転院、診断名は「気分変調性障害」と診断されました。神経症という症状から気分変調性障害と今の時点での診断名で精神疾患を患い20年を経過しています。

 現在、辛い時の症状は、うつ状態、朝の起床時から具合が悪いと体が重く感じる、悲観的な感情、自殺願望、また朝の起床時にとにかく眠くて起きるのに苦労する、しかし何の症状もなく起床できる場合がある、疲労感、食欲不振、頭の中が働かない、体が動かない等、日によりけりです。

 睡眠薬の量は適量といわれています、が最近、朝の起床時に眠くて仕方がない時が続きます。無理をして起床をすれば頭も体も動いてきますが具合が悪いと寝込んだりもします。朝、眠くて起きるのに一苦労するのには何か理由があるのでしょうか?上にあげた症状が出た日も苦しいのは当然なのですが。

A

 お問い合わせありがとうございます。

 ご記載の内容からは、相談者様の年齢・性別・背景などが不明ですので、一般的な見解を述べるに留まる点はご了承ください。

 ご質問を整理すると、
1.現在の診断である「気分変調性障害」と、その他の「神経症」「軽いうつ」「強迫性障害」との関係性
2.現在一番気にかかる症状である、朝の起きづらさについて
と言う事で宜しいでしょうか?

 まず表題にある気分変調性障害についてですが、アメリカ精神医学会「精神障害/疾患の診断・統計マニュアル」DSM(Diagnostic and Statistical Manual of MentalDisorders)の最新版、通称DSM-5によれば、軽い抑うつ気分がほとんどの日においてあり、年単位で持続する気分障害が、気分変調症(Dysthymia:ディスチミア)であるとして記載されています。持続性抑うつ障害(Persistent Depressive Disorder)という病名と共に併記されており、いずれもうつ病ほど深刻ではなく、軽いうつ状態が慢性的に続く障害としての位置づけです。

 そもそもはDSM第3版(DSM-V)から「神経症」という病名を避けることになり、抑うつ神経症(depressiveneurosis)とされていたものの一部が、気分変調性障害へと変更されました。さらにDSM第4版(DSM-W)で気分変調性障害(Dysthymic disorder)が気分変調症へ名称変更されています。

 ですから、SNOWさんが20代後半に診断された病名が、抑うつ神経症であったとすれば、神経症⇒軽いうつ(+強迫神経症)⇒気分変調症との病名変遷は、SNOWさんの病態変化や医師の見立て変化というより、診断基準の変化によるものではないかと考えられ、病態自体としては同じ症状に悩まされているのでないかと思われます。

 同様に病名変化があったものは下記の通りです。

* 不安神経症→全般性不安障害、パニック障害
* 恐怖症→広場恐怖、社交不安障害、特定の恐怖症
* 強迫神経症→強迫性障害
* ヒステリー→転換性障害、解離性障害 
* 離人神経症→離人性障害、解離性同一性障害
* 抑うつ神経症→うつ病、気分変調症

 SNOWさんは経過の途中からは強迫神経症を併発なさったようですから、現在の診断名は、
#1.気分変調症、#2.強迫性障害 #3.睡眠障害
となっているものと思われます。

 気分変調症は、脳内神経伝達物質の機能不全起因するとされるいわゆる「うつ病」に比べて、環境的要素や気質・成育歴によるストレスの感じ方、逃し方スキル不足などに問題があることが多く、SNOWさんの場合もその辺りから長期に悩まされているのではないかと思われます。「病気や病名」そのものに捉われず、ご自身のストレス源たる事象の棚卸しや、物事の捉え方の修正、ストレス解消方法の開拓なども行ってみることをお勧めいたします。

 ただ20年にわたり熟成されている諸症状ですので、一気に解決することは困難と思われます。一つずつ薄紙を剥ぐような、長期的展望を持ちながら行うことをお勧めいたします。


 次に「朝の起きづらさ」についてです。
 こちらも詳細な生活状況が分かりませんので一般的なお話しとなります。

 大前提として睡眠は、覚醒時の活動の「影」であるという認識が必要かと思います。
「良い睡眠が得られると活動性や能率が良好になる」ではなく、「日中の適度で良好な活動が、良い睡眠をもたらしやすくする」という事です。
そのため睡眠は「予めの寝貯め」は出来ませんが、過労や睡眠時間不足により、十分な睡眠が得られなかった時の「睡眠負債」は返済しようとする傾向になると言われます。

 もし睡眠時間が十分であるに覚醒が悪い時は、その前日に無理をしていなかったかなどを振り返り、日中活動を修正してみることは有効かと思います。
 また「概日リズム」という1日24時間単位の周期の存在を耳にされたこともあろうかと思いますが、この体内時計といわれるリズムに、生活をうまく合わせることも大事なことかと思います。脳や体が眠りを必要としてない時に寝ても、その質は悪くなり熟眠感が得られない結果になろうかと思います。

 さらにこれは私見となりますが、概日リズムよりもっと長周期、数日数週、数月と言ったリズムも身体は持っているように思います。おそらくは体内ホルモンや細胞周期に影響を受けているのでしょうが、日常診療を行う中で、皆さんの状態にバイオリズム様の好不調が存在しているように見えるのです。

 ですから、日々の睡眠の質にあまり捉われることなく、体内の様々なリズムに身を任せ、全体的(例えば数月単位での平均値など)に見てどのような睡眠状態かを捉えた方が、むしろ良い睡眠が得られる頻度が高まるのではないかと思います。

 よく診察の中で例えるのですが、睡眠は人懐こい子犬のようです。追いかけると逃げ回りますが、知らんぷりしていると背中から飛び掛かってきます。そして一度じゃれ付くと、むこうが飽きるまで止めようとしません。その行動をコントロールするにはとても難儀します。
 そんな連中を満足させるには、毎日決まった時間に十分量遊んでやる習慣を作ることが必要になってきます。そんな愛らしくも扱いづらい存在を、誰もが心の中に飼っているのだと考えてはいかがでしょうか?
ピンとこない例えでしたら失礼いたしました。

 SNOWさんがお尋ねになりたかったことに、十分お答えできているか自信はありませんが、どこかに少しでもお役立ちする部分があれば幸いに思います。
お大事になさってください。

             
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